* 第一部 * 梅花烙
* その二 *
(23) 福晉らの思惑を無にする皓禎
福晉らは公主から吟霜を護るため、一同申し合わせる。それを察せられない頭の悪い皓禎は、吟霜の手を看て公主の仕業に違いないと怒り狂う。福晉ら苦心の穏便な収拾策も、皓禎の軽挙妄動が火に油を注ぐことになる。
(24) 皓禎の軽挙妄動
例え心中はそうであっても、奥さん(公主)に向かって「白吟霜是我生命之中最重要的女人」と言ってしまったらもうお終い。公主ならずとも怒り心頭は当然。皓禎は真正のおバカさんです。
(25) 吟霜の受胎("白姑娘"から"白姨太"に)
吟霜の"おめでた"が知らされ、王府内は大喜び。一方の公主は心穏やかでない。18年前、王爺の妾でウイグル族の翩翩に対して王爺の正室福晉が味わった焦燥を、今度は皓禎の正室公主が同じ境遇に立たされる。
(26) 吟霜の流産
解説するまでもなく、映像を見れば皓禎の狂人ぶりがわかります。回廊を転げ落ちてはだけた吟霜の右肩に梅花烙があるのを発見し、福晉は仰天。
(27) 狂人皓禎と聖人吟霜
吟霜の流産に狂った皓禎は、公主の許に乗り込み、崔媽媽の首を絞める。吟霜がそれを諫める。吟霜と皓禎の、人の持つ内心の格差が抉り出される場面です。
(28) "梅花烙"の秘密
福晉は吟霜の"梅花烙"を看て以来、我が子に間違いないと激白するが、それを明かせば「王府の秩序を乱す」と秦媽媽に諫められる。一方、公主は、唯一の理解者崔媽媽と涙に暮れる。確かに公主は、吟霜を虐めたりして悪女の役回りなのでしょうが、崔媽媽とともに希望に燃えて新婚生活に入ろうとしていたわけだし、最初から怨恨があったわけではない。すべての火種は、皓禎自身がまき散らしているのですね。
(29) 吟霜出生の秘密
一介の丫頭である自分に人一倍親切で、生い立ちまで訊きたがる福晉が、実は産みの母親であることを知らない吟霜は、福晉の言動が不思議でならない。
(30) 公主の激白
この場面、何とか不和解消を、と考える公主のほうに百パーセント道理あり。皓禎は公主の感情を逆撫でするだけで、事態収拾どころか火に油を注いでいく。終にキレた公主が白狐刺繍屏を壊し、不和解消は絶望的・・・。
(31) 公主の妄想
高貴な自分より下賤な吟霜に、なぜ皓禎の関心がいくのか理解出来ない公主は、吟霜は"白狐の化身"に違いないと妄想を巡らす。吟霜も吟霜、夜中に白衣裳を着て何やら秘密の祈祷を献げていたら、奇怪に思われるのは必定ですね。
(32) 詐欺道士現る
白狐の正体を暴こうと公主は道士を入府させ、吟霜を捕縛して除霊を試みるが、真正人間とわかって道士は遁走。吟霜を憐れむ福晉は、我慢しきれず終に出生の秘密を明かしてしまう。
(33) 白吟霜の葛藤
出生の秘密を明かされた吟霜は、自分を捨てた福晉を今さら生母と認めると、養父母を裏切ることになりはしないか、と思い悩む。事情を知らない香綺は、吟霜の急変にこれまた思い悩む。
(34) 吟霜の出家
公主の知らないところで崔媽媽が謀って、公主の新婚生活が上手くいかない原因は吟霜にあると皇帝の耳に入れる。結果、皇帝は吟霜を出家させることに。頭の悪い皓禎は公主の仕業と思い込み、公主のところへ怒鳴り込みに行くが・・・。皓禎の様子を見た公主は、吟霜をますます神格化(?)してしまう妄想に陥っていく。
(35) 吟霜の出府
吟霜出府の日、我慢できなくなった福晉は、家人の面前で自分が吟霜の生母であると叫んでしまう。しかし、当の吟霜に否定され、夫の王爺からは信じてもらえない福晉は、匕首で自害を図ろうとする。その姿を見た吟霜は、思わず「娘(niang;お母さん)!」と叫んでしまい、王府は混乱の渦に。劇中、最大の"泣かせどころ"です。
(36) "梅花烙"
事情を知らなかった王爺は、ゆかりの梅花簪を捨ててしまう。事実とすれば、唯一の親生男子になる皓祥の悪罵に王爺は怒り心頭。皓禎の失意を知った王爺の口上は、父親らしい思いやりでしょう。
(37) 王爺の決心
事情を悟った王爺は、皓禎・吟霜・香綺・小寇子・阿克丹の五人を逃がすことを決心。そこへ皇宮から捕方が・・・。
(38) 皓禎の極刑と皓祥の醜態
嬰児取替の醜聞が皇帝の耳に入り、皓禎は極刑斬罪と決まる。庶民降下に納得しない皓祥の醜態に、腹を据えかねた阿克丹らが袋叩きに。一方、吟霜は家臣らに"四格格"と崇められる。
(39) 吟霜の進宮
皓禎救命に最後の望みを賭けて、吟霜は崔媽媽の手引きで公主に面会する。しかし、吟霜が出した「私が死んだあと、私の代わりを。」との条件も、皓禎獲得争いで吟霜に対する敗北感を抱く公主は、「偉大な貴女に出来ないことが、なぜこの私に出来る?」などと卑屈な感情から抜け出せない。
(40) 吟霜の殉情
皓禎救命の意が公主に通じず、吟霜は自害を図るが・・・。秦媽媽のいう「死ぬことは容易い。艱難辛苦を忍んで生きるほうが"勇気"が要る。」は、日本的死生観とは真逆で興味深いです。
(41) 公主の恋情と家臣の殉死決意
刑執行当日、公主は居ても立ってもいられず、刑場に赴く皓禎を追う。皓禎は公主に対し、初めて「眞的對不起(本当にごめんなさい)」というが、とき既に遅し。一方、公主は「我原諒你(私はあなたを許します)」と。刑場では殉死を決め込む阿克丹と小寇子。吟霜も駆けつけるが、皓禎に言われ、刑場を去る。
(42) 公主の皓禎救命と吟霜の先立ち
公主の奏上により斬首寸前で皓禎は救われる。が、そうとは知らない吟霜は既に先立っていた。
(43) "白狐"は原生の山林へ
最後の台詞が公主の「皓禎、戻ってきて・・・」が暗示的です。公主の皓禎救命動機が、夫婦仲を解消して円満に暮らそうとする目的からだったことを窺わせます。公主の思惑とはまるで反対の結末になってしまうところが憎い。
(44) 片尾曲『你我曽經走過紀元』
演唱;費玉清