* 第二部 * 鬼丈夫
袁樂梅(♀) 生まれつき、左腕に梅花似の痣がある。母映雪とともに、親戚の韓家の世話になる。柯起軒(♂) 柯家の次男。樂梅の出生時、両家親同士により、樂梅との縁組が決められていた。楊萬里(♂) 起軒の友人。家業は五代にわたる医者。韓宏達(♂) 韓家の一人息子で、樂梅の理解者。起軒、萬里とも友人関係を築く。方紫煙(♀) 母紡姑の仇敵と狙う柯家に、丫頭として潜入。実は、起軒の異母妹。小珮(♀) 韓家の樂梅付丫頭。生まれつき頭は弱いが、正直で樂梅に忠実。李映雪(♀) 樂梅の生母。亡夫懐玉を起軒の父士鵬に殺されたと曲解し、当初は柯家に恨みを抱く。
* その一 *
演唱;葉歡
清朝光緒廿二年(明治廿九年)、湖南四安村韓家を訪ねる途中の袁懐玉・李映雪夫妻に女児が誕生する際、霧山村柯家の一行が通りかかり、袁夫妻を手助けする。女児は左腕に梅花似の痣があることから"樂梅"と名付けられ、柯家次男起軒の嫁に、という話がまとまる。しかし、道中盗賊に襲われ、起軒の父士鵬が過って懐玉を刺し殺してしまう。(映像省略)
民國三年(大正三年)、霧山村仮面祭の際、捕縛された白狐を逃がそうとした樂梅は、起軒の放った矢に当たり負傷する。傷の手当てをと迫る起軒は、彼女の左腕の梅花胎記を発見し、"樂梅"であるとわかる。樂梅は、面識もないのに自分のことを知る起軒を、不思議に思う。
事情を知らない友人の楊萬里は、起軒が樂梅のことを知っている理由を質すので、起軒は"その所以"を語る。
四安村の趕集("市"の立つ)日、樂梅が骨董品の"白狐刺繍屏"に興味を示しているところへ、予告どおり起軒が現れ、お金がなくて買えない樂梅に代わって買い与える。 この刺繍屏、第一部で怒った公主が叩き壊して(梅花烙30)しまったはずですが・・・。彼の国得意の"模造品"でしょうか。
またも突然現れた起軒は、樂梅に名前を問われて"何明"とウソを吐く。「自分は"公明正大"だ」なんて端から大嘘じゃありませんか。
起軒に話を聞いた柯家は、韓家との関係修復のきっかけになるかもしれないと映雪の許を訪ねる。しかし、夫を士鵬に殺されたと誤解する映雪はケンもほろろ。また、樂梅も韓宏達から聞いて駆けつけるが、"何明"とはウソで、実は起軒だったことを知り、起軒を責める。
起軒は宏達を遣って樂梅を呼び出すことに成功するが、起軒が偽名を使ったことと母映雪を悪く言うことに樂梅は失望し、去ってゆく。
寒松園前で起軒は紫煙に自転車をぶつけてしまう。紫煙が柯家を訪ねてきたと知って、起軒は祖母の老夫人に紹介する。聡明な紫煙を老夫人は気に入り、丫頭として雇い入れることに・・・。
諦め切れない起軒は萬里と図り、小珮に恋文を持たせて樂梅を呼び出そうとする。恋文作戦は古典的な戦法ですね。小珮の「我把它貼身藏著(身体に貼り付けてきた)」が笑わせてくれます。余談ながら、漢語で「手紙」といえばトイレットペーパーの意。日本語の「手紙」は、漢語で「封信」。
樂梅のほうも起軒が忘れられず、小珮を遣った恋文作戦は成功。しかし、帰宅すると誰も居ないはずの部屋に母映雪が・・・。びっくりした樂梅が思わずハンカチを放り出す演出が憎い。
樂梅が起軒と逢ってることを知った映雪はカンカン。亡夫の位牌を胸に韓家を去るという母映雪に、樂梅は「起軒のことは永遠に忘れる」と誓う。
樂梅を嫁に出すという親たちの相談を宏達から聞いて樂梅は、「嫁には行かない」と訴える。が、母映雪と言葉のアヤで口論となり、「樂梅は死んだ。この世に存在しない。起軒の所へでも何処でも行くがいい」と家を追い出されてしまう。さまよいながら起軒の所へ行こうとした樂梅は、過って崖から転落してしまう。
樂梅は宏達に救われて部屋に運ばれる。火急を聞いて駆けつけた起軒と映雪は口論となる。「樂梅を追い込んだのは私ではない。あなたのほうだ。これがあなたの亡夫の遺志か」と起軒に詰問された映雪は返す言葉を失う。
樂梅の見舞を口実に柯家が韓家を訪れ、宿願の樂梅父袁懐玉位牌の参拝を果たし、両家の関係が次第に修復されていく。
萬里の診療、起軒・映雪らの看病により、樂梅は奇跡の生還を果たす。映雪の柯家に対する誤解も解け、晴れて樂梅と起軒の婚礼が決まる。
柯家を母紡姑の仇敵と狙う紫煙は、何度か老夫人の毒殺を試みるが、むしろ信頼が篤くてなかなか意を果たせない。母の怨みとの板挟みで悩むが、突然、放火を思い立ち、ついに火を放つ。火急を聞いて駆けつけた萬里が、火の海に飛び込み、起軒を救い出す。
韓家に第一報が知らされて宏達が起軒の様子を見に来るが、惨状に言葉もない。一方、紫煙の必死の看病を見て、萬里らは、起軒に対して紫煙に特別の感情があるのか、と邪推してしまう。
萬里の治療と紫煙らの看病で何とか一命を取り留めた起軒だが、リハビリ中、顔の包帯を取って鏡を見、崩壊した姿に絶望する。
樂梅の動揺を恐れ、老夫人が病気で婚礼延期とウソを吐いていた映雪は、自分の眼で起軒の状況を確かめようと彼を訪ねるが、精神・身体ともあまりの変貌ぶりにびっくり仰天。
ついに起軒死亡(実は樂梅・小珮以外全関係者のはかりごと)との報を聞かされた樂梅は俄に信じられず、墓参すると言い出す。困った一同は偽墓を造ることに・・・。
偽墓を詣でた樂梅は、墓標となった起軒に殉情を訴え、墓標に頭をぶつけて殉死しようとする。病床に就いた樂梅は白狐刺繍屏を見て、「一生一世」の言葉を思い出す。そして「譲我抱著起軒的牌位成親(起軒の位牌と結婚させてください)」と言い出し、居合わせた一同は言葉をなくす。
樂梅は起軒の位牌を抱いて柯家へ嫁入りする。その晩、新郎の居ない新婦だけの部屋で独り言を呟いていた樂梅は、窓外に人の気配を感じる。
柯家家人に挨拶回りする樂梅は初めて紫煙に会い、起軒への看病のお礼を述べる。複雑な表情の紫煙。老夫人は紫煙の本心を誤解しており、樂梅のほうが人を見る眼は確かですね。
真相(起軒生存)を知る宏達と萬里が樂梅を訪ねる。宏達に「痩せたんじゃないか?」といわれた樂梅は、「我並不寂莫也不孤独。因為我有一個"鬼丈夫"。(寂しくないし孤独でもない。なぜなら、私には"幽霊の夫"がついているから。)」と言い、宏達・萬里を驚かす。その後、起軒を訪ねた宏達と萬里は、紫煙に当たり散らす起軒の自堕落な姿に呆れる。
柯家の一家団欒。老夫人が「起軒は蜜味ハムが好物だった」と漏らす。すかさず紫煙が「送去二少奶奶的房裡。(次男夫人の部屋に持って行きます。)」と応じる。部屋に戻った樂梅は、霊前の供え物を下膳する際、人の気配を感じる。鳥のざわめきに驚いて躓いた樂梅の傍に仮面の男が・・・。仰天して再びひっくり返るが、起軒の面影を見てあとを追う。
《次頁》へ続く → 「その二」を視聴する。