* 第三部 * 水雲間 * その二 *
上海での宴会席上、芊芊の載った新聞記事を見た世全はもうカンカン。こんな時、自宅軟禁を抜け出して若鴻と密会する芊芊さんもどうかしている。連れ戻され張り倒された芊芊さんだが、新聞を手に曰く「名誉が傷つくどころか『當作是一段藝壇美事』と誉めてある」、とは減らず口もいいとこ。全く反省の色なし。
芊芊が自宅に連れ戻されたことで、酔馬會に助けを求める若鴻だが、身勝手な言い分では相手にされないのも当然。また、杜家へ乗り込んで芊芊を自分のもとへ取り戻そうというのも無謀。結果は芊芊が二階から飛び降りて大惨事に・・・。
芊芊闘病生活の模様。若鴻は世全との話し合いにより四海航運杭州分社で働くことになるが・・・。
芊芊に若鴻を獲られた子璇の内心は穏やかでない。芊芊と一対一で火花を散らすが、子璇の若鴻分析は嫉妬を超えてことごとく当たっている。
若鴻の無知無能な仕事ぶりを世全から聞いて水雲間を訪ねた芊芊だが、子璇が言うとおり、若鴻は狂ったように、(というか元々狂っているが)暴れていた。
嫉妬心から出たであろうことはおくとして、子璇は怒りから「若鴻の自己放棄」と宣告する。しかし、これはもっともな話。若鴻は、自分の為すことがうまくいかないと、それをすぐ他人のせいにする。論より証拠、指摘された直ぐあと、芊芊に向かって「君の父親が自分の生き甲斐を奪った。」などとほざきますが、会社で働くと言い出したのは若鴻のほう。これでは誰も信用しないのは当たり前。
若鴻を諭す世全、カッコいいですね。しかし、根っからの無知無能な若鴻には通じません。続く、会社での勤務ぶりをご覧になれば、それがよくわかります。横柄な態度。責任転嫁。ごまかし。こうしてはいけないという見本が全部みられます。
若鴻の無神経ぶりは救いようがない。子璇に対しても、子黙に対しても、相手がどんな気持でいるか、まったくわかっていない。だから、火に油を注いで相手をますます怒らせてしまう。こんなどうしようもない男を好きになる女心が理解出来ませんね。
世全の尽力で、若鴻は個展を開くが、一幅も売れない大失敗。当たり前です、画才など端からないのだから。ところが、奇蹟が起きて、日本企業の副社長賈亦珍と名乗る人物が二十幅購入する。しょうもない絵画が売れること自体おかしいが、芊芊さん、名前を聴いて直ぐ怪しいと思わなくっちゃ。
個展の成功で祝宴を開いているとき、子黙が庭先に現れ、賈亦珍が購入したはずの若鴻の絵画二十幅に火を点けて燃やしてしまう。
若鴻は、絵画を燃やされたことがトラウマとなって狂って(もともと狂っているが)しまう。子璇が「お腹の子は若鴻によるものではない」と芊芊に打ち明ける。これは、芊芊を思いやって言ったわけではなく、若鴻と子璇との問題であろう。事実関係を否定してのことか、こんなダメ男が父親であって欲しくないという願望なのか、判然としませんが・・・。
父世全と口論する芊芊さん、目玉が落ちこぼれそう。この勝負、父親のほうが正しい判断をしています。子黙に対する芊芊さんの形相が凄い。女が怒ると怖いですね。
親に内緒で結婚するという芊芊さんの無鉄砲な行動がまたも家庭騒動を起こしてしまいました。現代感覚でも、親が怒るのは無理ないですね。若鴻もまるで無策、"結婚の自由"などとほざけばほざくほど、騒動に油を注いでいきます。
お嬢様育ちの芊芊さんが、炊事洗濯・畑仕事に精出しています。しかし、おそらく苦痛ではなく、それが幸せなんですよね。母意蓮が福叟を伴って芊芊の様子を見に来ますが、やっぱり"母親"ですね。
酔馬會の連中も新生活の様子を見に来ました。最近の絵画は芳しくないとみんなが話しているのを盗み聞きした若鴻は、また例によって暴れ出す。子璇が言う「梅若鴻、你没有良心」は、まさにそのとおりで、強烈です。
この前、子黙の策略で、新婚生活の糧になればと、芊芊が美術学校事務員として働く話があって、芊芊が嫌がるのを若鴻が同意していることを念頭にこのクリップをご覧ください。若鴻の身勝手な部分と男気のなさが如実に表れます。
"女の眼"をとおして見た出産時の男たちの姿です。芊芊に「痛かった?」と訊かれて、子璇は「子供を抱いたら、(苦痛なんて)忘れた」と答えていますが、そう信じるしかないですね。男は逆立ちしても体験できませんから。
若鴻というのは、もともとこういう男なんですよ、芊芊さん。いみじくも子璇が言ったとおり、蝶のごとく花を見ては西に東に渡り歩くようなもの、と。
標題のとおり。芊芊さんは怒って出て行きました。当たり前です。
芊芊さんも気が動転してます。酔馬會に騙されたって、そんなこと誰も知るわけないでしょうに。画児が、白米や卵を見て、こんなの食べたことがないといって大喜びしていますが、どれもこれも芊芊さんが汗水流して蓄えたものですよね。若鴻は何一つ生産活動していない。ぐうたらな男なんだから。
《次頁》へ続く → 「その三」を視聴する。