台湾電視劇『梅花三弄』

* 第三部 *  水雲間


主要登場人物

梅若鴻(♂)
 四川出身の画家志望。女狂いで無知無能。責任感のかけらもなく禽獣同然の生物学的に男というだけ。しかも、役者(馬景濤)の必要以上にけたたましい演技と相俟って、辟易してくる。それとも女が描くドラマだから、どうしようもないダメ男を更生してやる筋書きになってしまうのだろうか。
杜芊芊(♀)
 名家の小姐。相当進歩的な女士。破天荒な行動で両親を悩ます。胸に若鴻命の証し紅梅刺青を刻印。
汪子璇(♀)
 子黙の妹。芊芊との若鴻獲得争いに敗北するが、"未婚の母"となってから、俄然女として強くなる。
翠 屏(♀)
 若鴻の初婚相手。重男軽女の時代ならではの諦観があり、若鴻を巡る三人の中では最も古風な女性。
汪子黙(♂)
 若手画家集団"酔馬會"の主宰者。いかにもインテリ風で若鴻とは対照的。芊芊を巡って若鴻に嫉妬するが、最後は"男らしい行動"を取る。
杜世全(♂)
 上海財閥四海航運公司の総帥で芊芊の父親。男親としての重要な役回りをコミカルに演じる。
方意蓮(♀)
 芊芊の母親であり、良き理解者。夫世全の妾である素卿を容認するだけの度量がある。
素 卿(♀)
 杜世全の在上海妾。何かと家人を皮肉って杜家に波風を立てる。実は、弱き女の立場を象徴する存在。








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* その一 *


(00) 片頭曲『水雲間』

 演唱;童 孔






(01) 梅若鴻・杜芊芊の初相逢

 のっけから、梅若鴻のこれ見よがしな"演技"にうんざりします。はっきりいってこの役者、大嫌いです。尤も、役柄なのでしょうけど・・・。しかし、"大根"もいいとこ。別に嫉妬しているわけではありませんよ。






(02) 若手画家の"煙雨樓"

 汪子黙が芊芊を歓迎するには下心があって、若鴻と妹子璇を結びつけ、自分は芊芊をいただこうという魂胆のようです。






(03) 杜世全の実力

 名士杜世全の実力は大したもので、収監された酔馬會の全員が釈放されます。それも、厳しく躾けたい娘芊芊でなく、跡取り息子の小蔵に頼まれてようやく行動するところが男親の親馬鹿ぶりを物語る。






(04) 煙雨樓の酒宴

 朝帰りとは芊芊小姐も大した度胸ですね。






(05) "水雲間"

 若鴻が行方不明の鶏を追い求める場面。実にくだらない。






(06) 芊芊の厚意

 若鴻はいったい何様のつもりだろう。自分の甲斐性のなさを棚に上げて、金持ちだからという理由で、芊芊の救済など要らないという。だったら、自分で稼げ、と言ってやりたい。芊芊さんが怒るのも無理はない。芊芊さんの怒り心頭は尋常でないですね。鶏に八つ当たりしたりして。






(07) 素卿の登場

 素卿さんは歓迎されていませんね。現代感覚では当り前でしょうが、民國十八年(昭和四年)の話です。法的にはともかく、か弱き女をどれだけ養えるかが男の甲斐性とされた時代なわけで、世全さんに罪の意識などさらさらなく、むしろ善意なのです。芊芊さんは大変進歩的な人ですから、そんな父親が許せないのでしょう。






(08) どっちもどっち?

 世全お父さんと芊芊さんとでは考え方が"水と油"ですね。芊芊さんも負けてません。父親に平手打ちを喰らったくらいで「第一次打我。我會永遠記住的。」とはまた大げさな。今も昔も、確かに女を殴るのは男として恥ずべき行為ですが、この場合、父親としての"教育的指導"でしょう。






(09) "梅花かんざし"

 第一部ゆかりの"梅花簪"が登場します。しかし、この簪、王爺が怒ってほかったのではなかったか。故事を語ったあとの骨董老爺曰く「信也好、不信也好。(信じるも良し、信ぜぬも良し)」ですか。それと、若鴻が、女性の品物だから芊芊・子璇のどちらにあげようか、と考えている時の二人の表情がいいですね。芊芊に贈られたあとの子璇の複雑な心裡状態もよくわかります。皓禎=梅若鴻、白吟霜=杜芊芊と役者がダブっており、老爺によれば"仮"貝勒=若鴻、"眞"格格=芊芊なわけで、やっぱり歴史は繰り返すのですね。






(10) 芊芊対素卿の女対決

 芊芊と素卿の女対決。迫力がありますね。使用人たちが、誰を信用し指示に従うか、よくわかる場面です。






(11) 

 コメントする気もなし。






(12) 若鴻の劣等感

 甲斐性もないくせに、人一倍プライドの高い若鴻の裏側に隠された異常な劣等感が表面化した場面です。子黙に対する男としての劣等感。金持ちに対する劣等感等々。






(13) 芊芊と子黙

 若鴻の言うまま、子黙とデートする芊芊さん、つまらなそうですね。それもそのはず、子黙になんか全く興味ないんですから。あくまで若鴻にお灸を据えるためでしょう。しかし、子黙兄妹連合軍の作戦にしてやられてますね。






(14) 煙雨樓の酒宴

 若鴻が最低の男だとすれば、子黙だって女から好かれるタイプじゃありませんね。「我愛你」と言ってますが、軽いんですよね。相手の幸福なんて毫も考えない男の独占欲だけですから。






(15) 若鴻は劣等感の塊

 芊芊に対しても、相手はいいとこのお嬢様、自分は貧困生活者という強烈な劣等感があるようですね。自尊心を強調する若鴻ですが、実は誇れるものなど何一つ持っていないのです。芊芊さんも芊芊さん。大見得を切ってますが、いつも朝令暮改ですからね。






(16) 回 憶

 上海で頭を冷やす芊芊ですが、手紙を読んだ子黙も鈍いですね、芊芊さんは君のことに関心などないの。






(17) 紅梅花刺青

 何ですか若鴻は、芊芊が居ないだけで狂ったようになって。「俺に近寄るな」と言ったのは誰? 芊芊さんも朝令暮改ですね。「二度と近寄らない」といったのは誰? しかも"紅梅花"の刺青まで刻印して戻ってくるとは。それに「我愛你」の言葉が、誰も彼も軽すぎ。






(18) 子黙のエゴ

 意蓮はやっぱり"母親"ですね。子黙も、芊芊に向かって「你放心 我不會軽易放棄的」ということは、相手の思いを無視したエゴであって「我愛你」が嘘であることを証明しています。






(19) 嫉妬に狂った子黙

 子黙の嫉妬は倒錯してますね。普通、矛先は恋する相手ではなく恋敵に向けられるもの。しかも、幾ら自分の眼で確かめようとしたとはいえ、女の衣服を剥ぐとは。この三部作の男どもは、ロクな人物は出てきませんね。






(20) 無神経な若鴻

 若鴻の無神経ぶりは言語に絶する。二人だけの時ならまだしも、見せつけるようにべたべたしたら、競争に敗れた者はそりゃ怒りますよ。







《次頁》へ続く → 「その二」を視聴する。